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MDCG 2021-19 「Guidance note integration of the UDI within an organisation’s quality management system」 は、MDRおよびIVDRで要求されるUDIの実装義務に関するプロセスを製造業者等のQMS(品質マネジメントシステム)に組み込むためのガイダンスを提供するものです。
欧州MDR/IVDRではUDIが義務化される。
UDIの実施に関する事項をQMSで定めなければならないそうだけど、いったいどうすれば良いの?
このようなお悩みをお持ちのご担当者の方は、 MDCG 2021-19 「Guidance note integration of the UDI within an organisation’s quality management system」 をご参照の上、自社のQMSをご改訂ください。
本ガイダンス文書では設計プロセス、製造プロセス、購買管理プロセス等のQMSに係る各プロセスにおけるUDIについて考慮すべき事項を提供しています。
また、付属書(Annex)において、QMSにUDIの実装に係るプロセスを取り入れるための具体的な考慮事項や、UDI実施計画の例が示されています。
本記事は2021年7月に発出されたMDCG 2021-19 「Guidance note integration of the UDI within an organisation’s quality management system」の翻訳です。ご使⽤の際には適宜、英語原⽂をご参照ください。
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本記事に掲載している MDCG 2021-19 「Guidance note integration of the UDI within an organisation’s quality management system」 の参考対訳資料の販売も行っています。
PDF版、Word版がご入用の方はぜひお求めください。
一意の機器識別(UDI)システムは、医療機器の識別を可能にし、医療機器の適切なトレーサビリティを促進し、機器の市販後の安全に関する活動の有効性を高め、インシデントレポートを改善し、市場安全性是正措置の対象の正確性を向上させ、より良いサーベイランスを可能とし、医療ミスを減らし、偽造された機器との戦いを支援する。 そのように、UDIシステムは機器のライフサイクルに組み込まれることを目的としている。
Regulation(EU)2017/745(MDR)の第27条およびRegulation (EU) 2017/746(IVDR)の第24条に従い、付属書VI MDR / IVDRのパートCに記載されている一意の機器識別システムはカスタムメイド、治験または性能テスト用機器以外の機器の識別を可能にし、トレーサビリティを促進する。本文書の目的は、UDIの統合および、MDR第10条(9)(h)およびIVDR第10条(8)(h)で要求される組織の品質管理システム(QMS)の一部としてのUDIの義務の実施に関するガイダンスを提供することである。関連する経済事業者には、製造業者、MDR/IVDR 第16条(1)の場合、販売業者、輸入業者、または製造業者に課せられた義務を負うその他の自然人または法人、およびMDR第22条(4)の場合は自然人または製造業者に課せられた義務を引き受ける法人が含まれる。
製造業者のQMSに含まれるべき該当するMDR / IVDR条項には、第10条(9)(h)/第10条(8)(h)「第27条(3)/第 24条(3)に従って行われたすべての関連機器に対するUDI割り当ての検証および第29条/第26条に従って提供される情報の一貫性と妥当性の確保」がある。したがって、QMSに関連してMDR / IVDRの要件を実施する場合、製造業者はUDIシステムと当該義務を統合する方法を検討する必要がある。
UDI(UDI-DIとUDI-PIで構成される)および基本的なUDI-DIの割り当て、ならびにUDI関連情報の管理は、他の多くのライフサイクルQMSプロセスに影響を与える可能性がある。製造業者は、UDI実装計画を確立し、QMSに記載されている適切な実装ツールを使用して、UDIシステムに関する規制への準拠を確実にするために、正しい評価/決定が行われ、適切な文書化された証拠が作成されるようにする。
このような計画の要素には、次のものが含まれうる:
製造業者はまた、外部の役割を決定および文書化する際に、該当するUDIの責任を評価する場合がある(例:サードパーティのサプライヤー、欧州代理人、輸入業者、流通業者、システムおよびプロシージャパックのプロデューサ)。
品質マネジメントシステムのさまざまな分野でUDIの義務を統合する場合は、次のセクションを検討する必要がある。
MDR第27条(3)およびIVDR第24条(3)に従い、カスタムメイド、治験用、または性能テスト用機器以外の機器を加盟国の市場に出荷する前に、製造業者は上記の条項のパラグラフ2に従って委員会によって指定された発行事業体の規則に従って作成されたUDIを機器および該当する場合より上位のレベルのパッケージングに割り当てるものとする。
さらに、MDR第29条およびIVDR第26条に従い、カスタムメイド機器、またはシステムまたはプロシージャパック以外の機器を市場に出す前に、製造業者またはプロデューサは基本UDI-DIを割り当てるものとする。 適合性評価の対象となる機器の場合、基本UDI-DIの割り当ては、製造業者がNBに適合性評価申請を行う前に実施する必要がある。
製造業者は、製品を設計および開発する際に、UDIシステムの目的と予想される効果を考慮する必要がある。 製造業者は、発行事業体の規則を使用して、機器を市場に出す前、または適合性評価のためにNBに技術文書を提出する前に、UDI-DIの割り当てを保証する必要がある。 さらに、UDI-PIは、リスク管理または規制要件に基づいて機器ラベルに割り当てられた、MDR / IVDR Annex VI、パートC、3.5および6のそれぞれに従って製造識別子を適切に複製する必要がある。 トレーサビリティに加えて、適切なリスク管理、規制要件の考慮(能動埋込機器にはシリアル番号が必要など)、およびレジストリなどの他の利害関係者/国内規制当局の期待または要件に基づいて、適切なレベルでの製品のシリアル化も行う必要がある。
UDIの割り当て、UDIの変更、および対応するトレーサビリティの程度(基本UDI-DIの下での機器のグループ化またはUDI-PIの定義)に使用される手順を適切に文書化する必要がある。
技術文書の一部として、製造業者は、割り当てたすべてのUDI(UDI-DIおよびUDI-PI)のリストを最新の状態に保つ必要がある(MDR第27条(7)、IVDR第24条(7))。 MDR第10条(8)およびIVDR第10条(7)によると、製造業者は、EU適合宣言の対象となる最後の機器が加盟国市場に出荷されてから少なくとも10年間、管轄当局が技術文書を利用できるようにしておくものとする。埋込機器の場合、当該期間は最後の機器が加盟国の市場に出荷されてから少なくとも15年でなければならない。
製造業者は、効果的な製品情報管理を確実にするために、製造段階の初期からUDIの使用を検討する場合がある。 たとえば、UDI-DIは参照番号またはカタログ番号として使用できる。
製造業者は、MDR / IVDRの要求に応じて、リスククラスごとのさまざまなタイムラインに従って、UDIキャリアをいつ、どこで、どのように適用するかを、個々のタイプ/モデルごとに決定する必要がある。
UDIキャリアは製造プロセスに影響を与える可能性があるため、ダイレクトマークされた機器の場合、機器が加盟国の市場に出荷される時には要件が満たされていることを確実にするために、付属書VIの4.10項、パートCに規定の例外が適用されるかどうかを事前に決定する必要がある。 たとえば、MDR / IVDRには、特定の機器で実施できない場合のダイレクトマーキングに関する例外がある。 このような例外は、望ましくは技術文書に文書化する必要がある。
さらに、機器のパッケージレベルにはUDIキャリアが必要である。 ラベリングに関する考慮事項:
MDR第27条(5)およびIVDR第24条(5)に従い、UDIは、MDR第87条およびIVDR第82条に従って重大なインシデントおよび市場安全性是正措置を報告するために使用されるものとする。 組織内部の手順において、これらの要件を詳しく説明する必要がある。
購入コンポーネントのパーツ/コンポーネントは、MDR第23条およびIVDR第20条に従って医療機器として規制されていない限り、UDI義務の対象にはならないがが、購入手順のレビューは、以下の考慮事項に基づいて行う必要がある:
機器の基本UDI-DIは次の場所に表示される:
機器のUDI(UDI-DI + UDI-PI)は:
基本的なUDI-DIおよびUDI-DIはEUDAMEDのUDIデータベースに提供する必要があるが(MDR第28条、第29条、付属書VI、パートB / IVDR第25条、第26条、付属書VIパートB)、UDI-PIはビジランスの問題がある場合にのみEUDAMEDに提供される。
製造業者がエンタープライズリソースプランニングシステムを使用してUDIデータ(基本UDI-DI、UDI-DI、およびUDI-PI)をキャプチャする場合、運用プリンターのソフトウェアをリンクし、UDIメタデータを収集し、UDIを作成するための妥当性確認文書を維持する必要がある。 線形または2Dおよび人間が読み取れる表示識別子、EUDAMEDへのM2M接続の妥当性確認、およびその他の手順を含む。
MDRおよびIVDRそれぞれに従い、カスタムメイド、治験または性能テスト用機器以外の機器が加盟国の市場に出荷される前に、製造業者は当該の機器に関連するMDR/IVDR 付属書VIのパートAおよびパートBで参照されている情報が正しく送信され、EUDAMEDのUDIデータベースに転送されていることを確実にする必要がある。製造業者は、EUDAMEDに提出された情報を最新の状態に保つ必要がある。
製造業者は、品質マネジメントシステムのUDI関連プロセスを確立、定義、維持、および文書化する必要がある。 UDI固有のプロセスをQMSに実装する際には、次の手順を考慮することができる。
製造業者は、MDR第25条および第27条(8)ならびにIVDR第24条(8)の規定を考慮して、トレーサビリティに関する戦略および活動を洗練させる必要がある。考慮すべきいくつかの要素には以下が含まれうる:
以下の手順を実施し、文書化する必要がある:
注:これは説明を目的としている。 製造業者は、これらの要素をどのように組み込むかについての責任がある。
NBは、規制で定義されているように、そのUDI要件の監査に関与する担当者がこれらの要件を知っていることを確実にする必要がある。 文書化された評価手順では、監査実施者がカバーする必要のあるUDIシステムに関するトピックの概要を明確に示す必要がある。
UDIシステムの該当するすべての要件は、NBによって監査されるプロセスの一部である。 これらのプロセスには、次の側面が含まれるが、これらに限定されない:
UDIシステムが要件を満たしていることを確認するために、NBが製造業者の品質システムを評価する際に、上記の要素を考慮することを推奨する。