医療機器の薬事に関する法規制情報提供サービス

QMS省令 第2章 第5節 製品実現

目次

26条 製品実現計画

  1. 製造販売業者等は、製品実現に必要な工程についての計画(以下「製品実現計画」という。)を策定するとともに、確立しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、製品実現計画と製品実現に必要な工程以外の工程に係る要求事項との整合性を確保しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、製品実現に係る全ての工程における製品のリスクマネジメントに係る要求事項を明確にし、適切な運用を確立するとともに、これを文書化しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、前項のリスクマネジメントに係る記録を作成し、これを保管しなければならない。
  5. 製造販売業者等は、製品実現計画の策定に当たっては、次に掲げる事項を明確にしなければならない。ただし、当該事項のうち、製品または工程の特性から該当しない事項については、この限りでない。
    1. 当該製品に係る品質目標および製品要求事項
    2. 当該製品に固有の工程(業務運営基盤および作業環境を含む。)、当該工程に係る文書の策定および当該工程に要する資源の確保の必要性
    3. 所要の検証、バリデーション、監視、測定、試験検査、取扱い、保管、流通および追跡可能性(履歴、適用または所在を追跡できる状態にあることをいう。以下同じ。)の確保に係る業務であって当該製品に固有のもの並びに工程の次の段階に進むことを許可するための基準および製品の出荷の可否を決定するための基準(以下「出荷可否決定等基準」という。)
    4. 製品実現に係る工程およびその結果としての製品が製品要求事項に適合していることを実証するために必要な記録
  6. 製造販売業者等は、製品実現計画について、当該製品実現計画を実行するに当たって適した形式で文書化しなければならない。

27条 製品要求事項の明確化

  1. 製造販売業者等は、次に掲げる事項を製品要求事項として明確にしなければならない。
    1. 当該製品に係る製品受領者要求事項(製品受領者への製品の送達および製品受領者が製品を受領した後の業務に係る要求事項を含む。)
    2. 製品受領者が明示してはいないものの、製品受領者が当該製品についてあらかじめ指定し、または意図した用途であって、製造販売業者等にとって既知のものに必要な要求事項
    3. 法令の規定等のうち、当該製品に関するもの
    4. 当該製品に係る医療機器等の安全かつ適正な使用または操作のために必要な使用者に対する教育訓練に係る要求事項
    5. その他製造販売業者等が必要と判断した当該製品に係る要求事項

28条 製品要求事項の照査

  1. 製造販売業者等は、製品を供給するに当たって、あらかじめ、製品要求事項の照査を実施しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、前項の照査を実施するに当たっては、次に掲げる事項を確認しなければならない。
    1. 当該製品に係る製品要求事項が定められ、文書化されていること。
    2. 製品受領者との取決めまたは製品受領者からの指示における要求事項が従前に提示されたものと相違する場合においては、当該相違点について、製品受領者と合意していること。
    3. 法令の規定等に適合していること。
    4. 前条第四号の教育訓練を使用者が受けられるようにしているまたは受けられるように計画していること。
    5. 各施設が、定められた要求事項に適合する能力を有していること。
  3. 製造販売業者等は、第一項の照査の結果に係る記録および当該照査の結果に基づきとった措置に係る記録を作成し、これを保管しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、製品受領者が要求事項を書面で示さない場合においては、当該要求事項を受諾するに当たり、あらかじめ、その製品受領者要求事項の内容を確認しなければならない。
  5. 製造販売業者等は、製品要求事項が変更された場合においては、関連する文書が改訂されるようにするとともに、関連する構成員に対し変更後の製品要求事項を確実に周知し、理解させなければならない。

29条 情報等の交換

  1. 製造販売業者等は、次に掲げる事項に関する製品受領者との間の相互の情報または意見の交換のための実施要領を策定し、これを文書化しなければならない。
    1. 製品情報
    2. 問合せ、契約および注文の取扱い(これらの変更を含む。)
    3. 製品受領者からの意見(苦情を含む。)
    4. 第60条の3第2項に規定する通知書
  2. 製造販売業者等は、法令の規定等に従い、厚生労働大臣、都道府県知事または令第37条の23に規定する医療機器等適合性調査実施者と、相互の情報または意見の交換のため意思疎通を図らなければならない。

30条 設計開発

  1. 製造販売業者等は、製品の設計開発のための手順を文書化しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、設計開発の計画(以下「設計開発計画」という。)を策定するとともに、設計開発を管理しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、設計開発計画を文書化し、保管するとともに、設計開発計画を変更する必要がある場合には、設計開発の進行に応じ更新しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、設計開発計画の策定において、次に掲げる事項を文書化しなければならない。
    1. 設計開発の段階
    2. 設計開発の各段階における適切な照査
    3. 設計開発の各段階における適切な検証、バリデーションおよび設計移管業務(設計開発からの工程出力情報について、あらかじめ、実際の製造に見合うものであるかどうかについて検証した上で、製造工程に係る仕様とする業務をいう。以下同じ。)
    4. 設計開発に係る部門または構成員の責任および権限
    5. 設計開発において工程入力情報から工程出力情報への追跡可能性を確保する方法
    6. 設計開発に必要な資源

31条 設計開発への工程入力情報

  1. 製造販売業者等は、設計開発を行う場合にあっては、製品要求事項に関連した次に掲げる設計開発への工程入力情報を明確にするとともに、当該工程入力情報に係る記録を作成し、これを保管しなければならない。
    1. 意図した用途に応じた機能、性能、使用性および安全性に係る製品要求事項
    2. 法令の規定等に基づく要求事項
    3. 第26条第3項に規定するリスクマネジメントに係る工程出力情報たる要求事項
    4. 従前の当該設計開発に類似した設計開発から得られた情報であって、当該設計開発への工程入力情報として適用可能な要求事項
    5. その他設計開発に必須の要求事項
  2. 製造販売業者等は、前項に規定する設計開発への工程入力情報について、その妥当性を照査し、承認しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、第1項各号に掲げる要求事項について、漏れがなく、不明確ではなく、かつ、互いに相反することがないようにしなければならない。

【ワンポイント!】「使用性」について

ここでいう「使用性」とはIEC 62366-1のUsabilityに相当するもののことをいいます。
日本における医療機器の「基本要件基準」(平成 17 年厚生労働省告示第 122 号)においては、IEC62366-1/ JIS T62366-1の適用はまだ必須とはされていません。
しかしながら、令和元年10月1日付課長通知「ユーザビリティエンジニアリングの医療機器への適用に関する日本産業規格の制定に伴う医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律上の取扱いについて(薬生機審発1001第1号/薬生監麻発1001第5号)」には以下の記載があります:

令和4年9月 30 日までに、当該規格(=JIS T62366-1)を適用したプロセスを構築することが望ましい。

ユーザビリティエンジニアリングの医療機器への適用に関する日本産業規格の制定に伴う医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律上の取扱いについて(薬生機審発1001第1号/薬生監麻発1001第5号)

今後、基本要件基準においてIEC62366-1/ JIS T62366-1が要求される可能性があることにご留意ください。

32条 設計開発からの工程出力情報

  1. 製造販売業者等は、設計開発からの工程出力情報について、次に掲げる条件に適合するものとしなければならない。
    1. 設計開発への工程入力情報に係る要求事項に適合するものであること。
    2. 購買、製造およびサービスの提供のために適切な情報を提供するものであること。
    3. 出荷可否決定等基準を含み、または当該出荷可否決定等基準を参照できるものであること。
    4. 製品の安全かつ適正な使用方法または操作方法に不可欠な当該製品の特性を規定しているものであること。
  2. 製造販売業者等は、設計開発からの工程出力情報を、設計開発への工程入力情報と対比した検証に適した形式にしなければならない。
  3. 製造販売業者等は、設計開発から工程の次の段階に進むことを許可するに当たり、あらかじめ、当該設計開発からの工程出力情報について承認しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、設計開発からの工程出力情報の記録を作成し、これを保管しなければならない。

33条 設計開発照査

  1. 製造販売業者等は、次に掲げる事項を目的とした設計開発に係る体系的な照査(以下「設計開発照査」という。) を実施する上で必要な実施要領を文書に定め、その適切な段階において、設計開発計画および当該実施要領に従い、設計開発照査を実施しなければならない。
    1. 設計開発の結果が全ての要求事項に適合することができるかどうかについて評価すること。
    2. 設計開発に問題がある場合においては、当該問題の内容を識別できるようにするとともに、必要な措置を提案すること。
  2. 製造販売業者等は、設計開発照査に、当該設計開発照査の対象となっている設計開発段階に関連する部門の代表者および当該設計開発に係る専門家を参加させなければならない。
  3. 製造販売業者等は、設計開発照査の結果およびその結果に基づく全ての所要の措置の記録(当該設計開発照査の対象となっている設計開発、参加者および実施日に係る情報を含む。) を作成し、これを保管しなければならない。

第34条 設計開発の検証

  1. 製造販売業者等は、設計開発からの工程出力情報が設計開発への工程入力情報に係る要求事項に適合するものとするため、設計開発を検証する上で必要な実施要領を文書に定め、設計開発計画および当該実施要領に従い、当該設計開発の検証(以下この条において「設計開発検証」という。) を実施しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、設計開発検証に係る計画(設計開発検証の方法(設計開発検証に統計学的方法を用いる場合においては、検体の数の設定の根拠を含む。)および判定基準を含む。)を文書化しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、設計開発検証の対象とされた製品に係る医療機器等が他の機械器具等と一体的に使用または操作される医療機器等である場合においては、当該一体的に使用または操作される状態を維持したまま設計開発検証を実施しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、設計開発検証の結果および結論の記録(当該結果および結論に基づき所要の措置をとった場合においては、その記録を含む。)を作成し、これを保管しなければならない。

第35条 設計開発バリデーション

  1. 製造販売業者等は、設計開発された製品を、あらかじめ規定された機能若しくは性能または意図した用途に係る要求事項に適合するものとするため、設計開発のバリデーション(以下この条において「設計開発バリデーション」という。)を行う上で必要な実施要領を文書に定め、設計開発計画および当該実施要領に従い、設計開発バリデーションを実施しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、設計開発バリデーションに係る計画(設計開発バリデーションの方法(設計開発バリデーションに統計学的方法を用いる場合においては、検体の数の設定の根拠を含む。)および判定基準を含む。)を文書化しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、設計開発を行った製品から選択した製品(製品を代表するものに限る。)について設計開発バリデーションを実施しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、初回の製造に係る一群の医療機器等およびロット(これらと同等であるものを含む。)から前項の製品の選択を行うとともに、当該選択の根拠の記録を作成し、これを保管しなければならない。
  5. 製造販売業者等は、設計開発に係る医療機器等が法第23条の2の5第3項の厚生労働省令で定める医療機器等である場合または法第23条の2の9第4項の厚生労働省令で定める医療機器等である場合においては、これらの規定に基づき行う資料の収集および作成を、設計開発バリデーションの一部として実施しなければならない。
  6. 設計開発に係る医療機器等が法第23条の2の5第3項の厚生労働省令で定める医療機器等である場合においては、製造販売業者等が当該資料の収集および作成を目的として行った当該設計開発に係る医療機器等に係る製品の送達は、製品の出荷とみなさない。
  7. 製造販売業者等は、設計開発バリデーションの対象とされた製品に係る医療機器等が他の機械器具等と一体的に使用または操作される医療機器等である場合においては、当該一体的に使用または操作される状態を維持したまま設計開発バリデーションを実施しなければならない。
  8. 製造販売業者等は、製品の出荷を行うに当たり、あらかじめ、設計開発バリデーションを完了しなければならない。ただし、当該製品に係る医療機器等の使用時の組立てまたは設置の後でなければ設計開発バリデーションを行うことができない場合においては、当該医療機器等を使用する製品受領者への受渡しまでに設計開発バリデーションを行わなければならない。
  9. 製造販売業者等は、設計開発バリデーションの結果および結論の記録(当該結果および結論に基づき所要の措置をとった場合においては、その記録を含む。)を作成し、これを保管しなければならない。

【ワンポイント!】治験と設計開発バリデーションについて

QMS省令 第35条第5項には以下の規定があります:

製造販売業者等は、設計開発に係る医療機器等が法第23条の2の5第3項の厚生労働省令で定める医療機器等である場合または法第23条の2の9第4項の厚生労働省令で定める医療機器等である場合においては、これらの規定に基づき行う資料の収集および作成を、設計開発バリデーションの一部として実施しなければならない。

QMS省令第35条第5項

法第23条の2の5第3項は、医療機器の製造販売承認の際に臨床試験の成績(=治験の成績)の添付を求めるものです。また、法第23条の2の9第4項は医療機器の使用成績評価に係る規定です。
上記の規定は、つまるところ以下をいいます:

  • 治験/使用成績評価に係る調査を設計開発バリデーションの一部として実施すること
  • 治験機器の製造所からの出荷は製品の出荷とはみなさないこと

以下が当該の薬機法の規定です:

3 第一項の承認を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、申請書に臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を添付して申請しなければならない。この場合において、当該申請に係る医療機器又は体外診断用医薬品が厚生労働省令で定める医療機器又は体外診断用医薬品であるときは、当該資料は、厚生労働省令で定める基準に従つて収集され、かつ、作成されたものでなければならない。

薬機法 第23条の2の5第3項

4 第一項の申請は、申請書にその医療機器又は体外診断用医薬品の使用成績に関する資料その他厚生労働省令で定める資料を添付してしなければならない。この場合において、当該申請に係る医療機器又は体外診断用医薬品が厚生労働省令で定める医療機器又は体外診断用医薬品であるときは、当該資料は、厚生労働省令で定める基準に従つて収集され、かつ、作成されたものでなければならない。

薬機法 第23条の2の9第4項

第35条の2 設計移管業務

  1. 製造販売業者等は、設計移管業務(次に掲げる業務を含む。)に係る手順を文書化しなければならない。
    1. 製造工程に係る仕様を決定する前に、設計開発からの工程出力情報が実際の製造に見合うものであるかを適切に検証していることを確認すること。
    2. 前号の製造工程を経ることによって適合製品(製品要求事項に適合する製品をいう。以下同じ。)を適切に製造できることを確認すること。
  2. 製造販売業者等は、設計移管業務を行った場合においては、その結果および結論を記録し、これを保管しなければならない。

第36条 設計開発の変更の管理

  1. 製造販売業者等は、設計開発の変更に関する手順を文書化しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、設計開発の変更を実施する場合においては、当該変更が医療機器等の意図した用途に応じた機能、性能、安全性および使用性並びに法令の規定等の適合性に及ぼす影響の有無および程度を検証しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、設計開発の変更を識別しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、設計開発の変更を実施する場合においては、あらかじめ、当該変更の照査、検証、バリデーションおよび承認を実施しなければならない。ただし、バリデーションを実施しないことについて正当な理由があるときは、この限りでない。
  5. 製造販売業者等は、前項の照査の範囲を、設計開発の変更が、構成部品等、工程内の製品、既に引き渡された製品、リスクマネジメントに係る工程入力情報または工程出力情報および製品実現に係る工程に及ぼす影響の評価を含むものとしなければならない。
  6. 製造販売業者等は、設計開発の変更、当該変更の照査および所要の措置に係る記録を作成し、これを保管しなければならない。

第36条の2 設計開発に係る記録簿

  1. 製造販売業者等は、製品または類似製品グループごとに、設計開発に係る要求事項への適合を証明する記録および設計開発の変更の記録並びに設計開発において参照した資料に係る記録簿を作成し、これを保管しなければならない。

【ワンポイント!】設計開発に係る記録簿の内容

設計開発に係る記録簿には以下のものが含まれ得ます:

  • 医療機器の安全性と適合性評価の結果(技術評価、試験室試験、模擬試験、動物実験、及び同等の医療機器への文献評価を含む)
  • 試験方法、試験結果及び結論の詳細情報
    • 生体適合性
    • 物理、化学及び微生物学的特性
    • 電気的安全性及びEMC
  • ソフトウェアの検証及びバリデーション結果
  • 臨床評価報告書
  • 市販後臨床評価報告書等
  • 法令による承認・認証申請及び届出文書

(出典:薬生監麻発0326第4号)

第37条 購買工程

  1. 製造販売業者等は、購買物品等が自らの規定する購買物品等に係る要求事項(以下「購買物品等要求事項」という。)に適合するようにするための手順を文書化しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、次に掲げる事項を考慮して、購買物品等の供給者の評価および選定に係る基準を定めるとともに、当該基準に従って供給者を評価し、および選定しなければならない。ただし、限定第3種医療機器製造販売業者にあっては、購買物品等がその後の製品実現に係る工程または最終製品(中間製品以外の製品をいう。)に及ぼす影響を考慮して、当該購買物品等の供給者の評価に係る基準を定めるとともに、当該基準に従って当該供給者を評価すれば足りるものとする。
    1. 購買物品等要求事項に適合する購買物品等を供給する能力
    2. 購買物品等の供給に係る実績
    3. 購買物品等が製品の品質に及ぼす影響
    4. 医療機器等の意図した用途に応じた機能、性能および安全性に係るリスク
  3. 製造販売業者等は、購買物品等の供給者に対する監視および再評価(限定一般医療機器に係る製品の購買物品等の供給者にあっては、再評価)に係る計画を策定しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、前項の計画に基づき、供給者の購買物品等の供給に係る実績を監視するとともに、当該監視の結果を考慮して、供給者を再評価しなければならない。ただし、限定一般医療機器に係る製品の購買物品等の供給者にあっては、当該供給者を再評価すれば足りるものとする。
  5. 製造販売業者等は、供給された購買物品等について、購買物品等要求事項への不適合が判明した場合においては、当該不適合によるリスクに応じて、供給者と協力して必要な措置をとらなければならない。
  6. 製造販売業者等は、第2項の評価および選定並びに第3項の監視および再評価の結果に係る記録(第2項の評価および選定並びに第3項の監視および再評価の結果に基づき所要の措置をとった場合においてはその記録を含むこととし、限定第3種医療機器製造販売業者にあっては、第2項の評価および第3項の再評価の結果に係る記録に限る。)を作成し、これを保管しなければならない。

第38条 購買情報

  1. 製造販売業者等は、購買物品等に関する情報(以下「購買情報」という。) を明確にし、かつ、購買情報に次に掲げる購買物品等要求事項を含めなければならない。ただし、当該購買物品等要求事項のうち、購買物品等の特性から該当しないものについては、この限りでない。
    1. 購買物品等の仕様
    2. 購買物品等の受入れ、購買物品等の供給者の事業所における手順、工程並びに設備および器具に係る要求事項
    3. 購買物品等の供給者の構成員の適格性の確認に係る要求事項
    4. 購買物品等の供給者の品質管理監督システムに係る要求事項
  2. 製造販売業者等は、購買物品等の供給者に対し購買物品等要求事項を提示するに当たり、あらかじめ、当該購買物品等要求事項の妥当性を確認しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、購買物品等要求事項のほか、購買物品等要求事項への適合性に影響を及ぼす変更を供給者が当該製造販売業者等にあらかじめ通知することについて、書面で合意した内容を購買情報に含めなければならない。
  4. 製造販売業者等(限定第3種医療機器製造販売業者を除く。)は、第48条第2項の規定により手順書で定めた事項に従い、関連する購買情報が記載された文書および記録を作成し、これを保管しなければならない。ただし、限定一般医療機器に係る製品については、この限りでない。

第39条 購買物品等の検証

  1. 製造販売業者等は、購買物品等が購買物品等要求事項に適合している状態を確保するため、試験検査その他の検証に係る手順を確立し、これを実施しなければならない。この場合において、製造販売業者等は、供給者の評価の結果に基づき、購買物品等に係るリスクに応じて検証の範囲を定めなければならない。
  2. 製造販売業者等は、購買物品等の変更に当たっては、当該変更が製品実現に係る工程または医療機器等に及ぼす影響を検証しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、自らまたは関連する製品受領者が購買物品等の供給者の事業所において購買物品等の検証を実施することとしたときは、当該検証の方法および購買物品等の供給者からの出荷の可否の決定の方法について、購買情報の中で明確にしなければならない。
  4. 製造販売業者等は、購買物品等の検証の記録を作成し、これを保管しなければならない。

第40条 製造およびサービス提供の管理

  1. 製造販売業者等(限定第3種医療機器製造販売業者を除く。第3項において同じ。) は、製品(限定一般医療機器に係る製品を除く。第3項において同じ。)の製造およびサービスの提供について、当該製品を製品の仕様に係る要求事項に適合させるための計画を策定するとともに、次に掲げる条件その他の適切な条件の下で実施し、監視し、および管理しなければならない。ただし、当該条件以外の条件の下で実施し、監視し、および管理することが適切であることを示すことができる場合については、この限りでない。
    1. 製造手順書および製造管理方法を定めた文書を利用できること。
    2. 当該製品の製造およびサービスの提供に見合う業務運営基盤を整備していること。
    3. 工程指標値および製品の特性の監視および測定を実施していること。
    4. 監視および測定のための設備および器具が利用でき、かつ、当該設備および器具を使用していること。
    5. 手順書および要求事項を記載した文書に定められた包装および表示に係る作業を実施していること。
    6. この省令の規定に基づき、工程の次の段階に進むことの許可、市場への出荷の決定、製品受領者への製品の送達および製品受領者が製品を受領した後の業務を行っていること。
  2. 製造販売業者等は、製品の各ロット(ロットを構成しない製品にあっては、当該製品。以下同じ。) について、第48条第2項の規定により手順書に規定した範囲の追跡を可能とし、かつ、製造数量および出荷決定数量を識別できるようにした記録を作成し、これを保管しなければならない。ただし、限定一般医療機器に係る製品については、製品の各ロットについて、製造数量および出荷決定数量を識別できるようにした記録を作成し、これを保管すれば足りるものとする。
  3. 製造販売業者等は、前項の規定により作成した製品の各ロットについての記録を検証し、承認しなければならない。

第41条 製品の清浄管理

  1. 製造販売業者等(限定第3種医療機器製造販売業者を除く。以下この条から第51条までおよび第53条において同じ。) は、その製品(限定一般医療機器に係る製品を除く。以下この条から第51条までおよび第53条において同じ。)が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該製品の清浄および汚染管理に係る要求事項を文書化しなければならない。
    1. 製品の滅菌または使用若しくは操作がなされる前に、当該製販売業者等または当該製品の製造を行う者による清浄が行われる場合
    2. 当該製造販売業者等が未滅菌のまま供給(出荷を含む。)し、滅菌または使用若しくは操作がなされる前に、使用者が清浄を行う場合
    3. 当該製造販売業者等による滅菌前または製品受領者による使用若しくは操作前に清浄を行うことができないものの、使用または操作中の清浄が重要である場合
    4. 使用者が未滅菌で使用または操作を行うものの、使用または操作中の清浄が重要である場合
    5. 当該製造販売業者等がその製造中に、製造用物質を除去することとしている場合
  2. 製造販売業者等は、前項第1号および第2号の清浄を行う場合においては、第25条第2項および第3項の要求事項を清浄化工程よりも前の工程に適用しないことができる。

第42条 設置業務

  1. 製造販売業者等は、医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「施行規則」という。)第114条の55第1項に規定する設置管理医療機器に係る製品またはこれに類する医療機器を取り扱う場合においては、他の方法によることが適切であることを示すことができる場合を除き、医療機器の設置および当該設置の検証に係る可否の決定基準を含む要求事項を明確にし、当該要求事項に係る適切な運用を文書化しなければならない。
  2. 前項の場合において、製品受領者要求事項により当該製造販売業者等または当該製造販売業者等があらかじめ指定した者以外の者が医療機器の設置および当該設置の検証を実施することができることとされている場合にあっては、当該設置および設置の検証に係る要求事項を文書化し、当該設置および設置の検証を実施する者に対して、 提供しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、実施された第1項の医療機器の設置および当該設置の検証(製造販売業者等または製造販売業者等があらかじめ指定した者が実施したものに限る。)の記録を作成し、これを保管しなければならない。

【ワンポイント!】「設置管理医療機器」と「これに類する医療機器」について

「設置管理医療機器」とは以下の医療機器のことを言います:

設置に当たつて組立てが必要な特定保守管理医療機器であつて、保健衛生上の危害の発生を防止するために当該組立てに係る管理が必要なものとして厚生労働大臣が指定する医療機器

薬機法施行規則第114条の55 第1項

一方で、「これに類する医療機器」とは以下の医療機器のことを言います:

「これに類する医療機器」は、設置管理医療機器以外の医療機器において、その使用に際して、 ISO 13485:2016の「7.5.3 Installation activities」における据付け及びその検証に含まれるような設置の作業製品の組立て、電源又は水道等の設備への接続等を伴うものを意図するものである

薬生監麻発0326第4号

【ワンポイント!】設置管理医療機器の遵守事項について

設置管理医療機器は、QMS省令以外に薬機法施行規則においてもその遵守すべき要求事項が規定されています。

薬機法施行規則第114条の55による設置管理医療機器についての要求事項には以下があります:

  • 設置管理基準書の作成
  • 設置管理基準書の販売業者又は貸与業者への交付
  • 中古品販売又は修理に関する通知を受けた時の、当該通知を行ったものへの設置管理基準書の交付
  • 設置管理基準書の交付の記録及び保存(15年間)

第43条 附帯サービス業務

  1. 製造販売業者等は、附帯サービス業務の実施があらかじめ定められた要求事項である場合においては、当該業務の実施および当該要求事項への適合状況に係る検証のための手順に係る体系を文書化しなければならない。また、必要がある場合には、参照する試料および測定の手順についても、併せて文書化しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、次に掲げる目的を達成するため、実施した附帯サービス業務(他者が実施した附帯サービス業務を含む。)の記録を分析しなければならない。
    1. 製品受領者からの意見が苦情であるかどうか判断すること。
    2. 品質管理監督システムの改善(第62条に規定する変更を含む。第61条第3項において同じ。)のための工程入力情報とすること(当該改善が必要である場合に限る。)。
  3. 製造販売業者等は、附帯サービス業務を実施した場合(附帯サービス業務を他者が実施した場合を含む。) においては、当該附帯サービス業務に係る記録を作成し、これを保管しなければならない。

第44条 滅菌医療機器等の製造管理に係る特別要求事項

  1. 滅菌医療機器等を取り扱う製造販売業者等は、各滅菌ロットについて、その滅菌工程の工程指標値の記録を作成し、これを保管しなければならない。
  2. 滅菌医療機器等を取り扱う製造販売業者等は、前項の記録を、製品の各製造ロットまで追跡することが可能なものとしなければならない。

第45条 製造工程等のバリデーション

  1. 製造販売業者等は、実施した製品の製造およびサービスの提供に係る工程について、それ以降の監視若しくは測定では当該工程の結果たる工程出力情報を検証することができない場合(製品が使用若しくは操作され、またはサービスが提供された後にのみ不具合が明らかになる場合を含む。) または当該工程出力情報を検証しない場合においては、当該工程について、バリデーションを行わなければならない。
  2. 製造販売業者等は、前項の規定によりバリデーションの対象とされた工程が製品実現計画に定めた結果を得ることができることについて、バリデーションによって実証しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、第一項の規定によりバリデーションの対象とされた工程について、次に掲げる事項に係るバリデーションの手順を文書化し、これに基づく適切な運用を確立しなければならない。
    1. 当該工程の照査および承認のための判定基準
    2. 設備および器具の承認並びに構成員に係る適格性の確認
    3. 方法、手順および判定基準
    4. 統計学的方法(検体の数の設定の根拠を含み、バリデーションに統計学的方法を用いる場合に限る。)
    5. 第9条(第3項を除く。)に規定する記録に係る要求事項
    6. 再バリデーション( 製造手順を変更した場合等において、再度バリデーションを行うことをいう。以下同じ。)
    7. 再バリデーションの判定基準
    8. 当該工程の変更の承認
  4. 製造販売業者等は、製造およびサービスの提供にソフトウェアを使用する場合にあっては、当該ソフトウェアの適用に係るバリデーションおよび再バリデーションの手順を文書化しなければならない。
  5. 製造販売業者等は、前項のソフトウェアを製造およびサービスの提供のために初めて使用するとき並びに当該ソフトウェアまたはその適用を変更するときは、あらかじめ、バリデーションを行わなければならない。ただし、当該ソフトウェアまたはその適用の変更前にバリデーションを行う必要がない正当な理由を示すことができる場合においては、当該ソフトウェアまたはその適用の変更後にバリデーションを行えば足りるものとする。
  6. 製造販売業者等は、製造およびサービスの提供へのソフトウェアの使用に伴うリスク(当該ソフトウェアの使用が製品に係る医療機器等の機能、性能および安全性に及ぼす影響を含む。)に応じて、当該ソフトウェアのバリデーションおよび再バリデーションを行わなければならない。
  7. 製造販売業者等は、第1項、第2項、第5項および前項に規定するバリデーションまたは再バリデーションの結果および結論の記録(当該結果および結論に基づき所要の措置をとった場合においては、その記録を含む。) を作成し、これを保管しなければならない。

【ワンポイント!】工程バリデーションが必要な工程とは?

工程バリデーションは「それ以降の監視若しくは測定では当該工程の結果たる工程出力情報を検証することができない場合(製品が使用若しくは操作され、又はサービスが提供された後にのみ不具合が明らかになる場合を含む。)又は当該工程出力情報を検証しない場合」に実施が要求されます。

つまり、ある工程の後で、当該工程のアウトプットが適切であるかについて試験などによって検証ができない/しない場合に実施が必要となります。「その工程が上手くいったかどうか後から検証することができない/しないのであれば、事前に当該工程が上手くいくことを保証しなさい」というのがこの規定の要求するところです。

工程バリデーションが必要とされる工程には以下のようなものがあります:

  • 滅菌工程(第46条にも従う必要があります)
  • 環境管理区域における管理条件の維持
  • 無菌処理
  • 凍結乾燥
  • 溶接
  • 成形
  • 押出成形
  • 熱処理
  • 再製造単回使用医療機器における再生部品、製品又は製造設備を対象とした洗浄等

第46条 滅菌工程および無菌バリアシステムに係る工程のバリデーション

  1. 滅菌医療機器等を取り扱う製造販売業者等は、滅菌工程および無菌バリアシステムに係る工程のバリデーションに係る手順を文書化しなければならない。
  2. 滅菌医療機器等を取り扱う製造販売業者等は、滅菌工程若しくは無菌バリアシステムに係る工程を初めて実施する場合または当該滅菌医療機器等若しくは当該工程を変更する場合においては、あらかじめ、バリデーションを行わなければならない。ただし、当該工程の実施前または変更前にバリデーションを行う必要がない正当な理由を示すことができる場合においては、この限りでない。
  3. 滅菌医療機器等を取り扱う製造販売業者等は、滅菌工程および無菌バリアシステムに係る工程のバリデーションまたは再バリデーションの結果および結論の記録( 当該結果および結論に基づき所要の措置をとった場合においては、その記録を含む。) を作成し、これを保管しなければならない。

第47条 識別

  1. 製造販売業者等は、製品の識別に係る手順を文書化するとともに、製品実現に係る全ての段階において、適切な手段により、製品を識別しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、製品実現に係る全ての段階において、監視および測定に係る要求事項に照らして製品の状態を識別しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、試験検査に合格した製品(許可された特別採用の下で出荷の決定がなされたものを含む。)のみが出荷され、または当該製品が使用され、操作され、若しくは設置されるようにするために、製品の状態を、製造、保管、設置および附帯サービス業務に係る全ての段階において識別できるようにし、これを維持しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、当該製造販売業者等に返却された製品について、適合製品から明確に識別されるようにするための手順を文書化しなければならない。

【ワンポイント!】UDIについて

ISO13485:2016 7.5.8 Identification(識別)では以下の要求があります:

適用される規制要求事項によって要求される場合、医療機器に機器固有識別子(UDI)を割り当てるシステムについて文書化する。

ISO13485:2016

現在のところ、日本においてUDIは規制要求事項として要求されていないため、QMS省令ではUDIは要求されていません。

ただし、令和元年の薬機法の改正で「医療機器を特定するための符号の容器への表示等」が令和4年12月1日に施行される予定です。

(医薬品、医療機器又は再生医療等製品を特定するための符号の容器への表示等)

第六十八条の二の五

医薬品、医療機器又は再生医療等製品の製造販売業者は、厚生労働省令で定める区分に応じ、医薬品、医療機器又は再生医療等製品の特定に資する情報を円滑に提供するため、医薬品、医療機器又は再生医療等製品を特定するための符号のこれらの容器への表示その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならない。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)

日本におけるUDIの義務化は令和4年12月1日であり、それに合わせて省令に反映されるものと思われます。

第48条 追跡可能性の確保

  1. 製造販売業者等は、製品および構成部品等の追跡可能性の確保に係る手順を文書化しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、前項の規定により文書化した手順において、法令の規定等に基づき、製品および構成部品等ごとに、追跡可能性の確保の範囲および保管すべき記録を定めなければならない。

第49条 植込医療機器に係る製品の追跡可能性の確保

  1. 製造販売業者等は、構成部品等または作業環境の条件によって植込医療機器に係る製品が製品要求事項に適合しなくなるおそれがある場合においては、当該構成部品等および作業環境の条件を前条第2項に基づいて記録するとともに、これらの条件全てに係る記録の追跡可能性を確保しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、植込医療機器に係る製品の出荷後の追跡可能性を確保するため、当該製品を取り扱う販売業者等( 販売業者または貸与業者をいう。以下同じ。) に、当該製品の流通に係る記録を作成させるとともに、これを保管させなければならない。
  3. 製造販売業者等は、当該製品について法第23条の2の5第7項若しくは第9項の規定による調査、第23条の2の10の2第4項の規定による調査、法第23条の2の23第4項若しくは第6項の規定による調査または法第69条第1項、第4項、第5項若しくは第6項の規定による立入検査等を受けた場合その他厚生労働大臣、都道府県知事または令第37条の23に規定する医療機器等適合性調査実施者から求めがあった場合に、前項の記録を提示できるように販売業者等に保管させておかなければならない。
  4. 製造販売業者等は、植込医療機器に係る製品の荷受人の氏名および住所(法人にあっては、名称および所在地)を記録し、これを保管しなければならない。

【ワンポイント!】特定医療機器

第49条は、特定医療機器を含む植込医療機器に係る製品に適用されます。

特定医療機器とは以下を言います:

人の体内に植え込む方法で用いられる医療機器その他の医療を提供する施設以外において用いられることが想定されている医療機器であつて保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するためにその所在が把握されている必要があるものとして厚生労働大臣が指定する医療機器

薬機法第68条の5 第1項

第51条 製品受領者の物品等

  1. 製造販売業者等は、製品等に使用し、または組み込むために提供された製品受領者の物品等( 製品受領者が所有権を有する知的財産、情報等を含む。) を管理し、または使用している間、当該物品等を識別し、検証し、保護し、および防護しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、前項の物品等を紛失し、若しくは損傷した場合、または前項の物品等が使用に適さないことが判明した場合においては、製品受領者にその内容を報告するとともに、記録を作成し、これを保管しなければならない。

第52条 製品の保持

  1. 製造販売業者等は、製造から処理、保管、取扱いおよび流通までの間(限定第3種医療機器製造販売業者にあっては、その担当する業務の間)における製品および構成部品等の適合性の保持(識別、取扱い、包装、保管および保護を含む。)に係る手順を文書化しなければならない。ただし、限定一般医療機器に係る製品については、当該製品についてその製造販売業者等が担当する業務の間に限る。
  2. 製造販売業者等は、製造から流通までの間、製品または構成部品等を変質、汚染または損傷から保護するため、次に掲げるいずれかの措置をとらなければならない。
    1. 製品を保護するために必要な包装または梱包の仕様を定め、当該包装または梱包を用いること。
    2. 製品の適合性を保持するための特別な条件に係る要求事項を文書に定めること(製品または構成部品等が包装または梱包によって適合性を保持することができないものである場合に限る。)。
  3. 製造販売業者等は、前項第2号の特別な条件が要求される場合においては、当該条件について管理するとともに、これを記録しなければならない。ただし、限定一般医療機器に係る製品および構成部品等については、この限りでない。

第53条 設備および器具の管理

  1. 製造販売業者等は、製品の製品要求事項への適合性の実証に必要な監視および測定並びに当該監視および測定のための設備および器具を明確にしなければならない。
  2. 製造販売業者等は、前項の監視および測定について、実施可能で、かつ、当該監視および測定に係る要求事項と整合性のとれた方法で実施するための手順を文書化しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、監視および測定の結果の妥当性を確保するために必要な場合においては、監視および測定のための設備および器具を、次に掲げる条件に適合するものとしなければならない。
    1. あらかじめ定めた間隔で、または使用の前に、計量の標準まで追跡することが可能な方法により校正または検証がなされていること。ただし、当該標準が存在しない場合においては、校正または検証の根拠について記録すること。
    2. 所要の調整または再調整がなされているとともに、その記録が作成され、および保管されていること。
    3. 校正の状態が明確になるよう、校正の状態について識別できるようにされていること。
    4. 監視および測定の結果を無効とする操作から保護されていること。
    5. 取扱い、維持および保管の間、損傷および劣化から保護されていること。製造販売業者等は、校正および検証について、その内容を手順書に定め、当該手順書に従い、実施しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、監視および測定のための設備および器具の、監視および測定に係る要求事項への不適合が判明した場合においては、従前の監視および測定の結果の妥当性を評価し、記録しなければならない。
  5. 製造販売業者等は、前項の場合において、当該監視および測定のための設備および器具並びに前項の不適合により影響を受けた製品について、適切な措置をとらなければならない。
  6. 製造販売業者等は、監視および測定のための設備および器具の校正および検証の結果の記録を作成し、これを保管しなければならない。
  7. 製造販売業者等は、監視および測定のためにソフトウェアを使用する場合においては、当該ソフトウェアの適用に係るバリデーションの手順を文書化しなければならない。
  8. 製造販売業者等は、前項のソフトウェアを監視および測定のために初めて使用するとき並びに当該ソフトウェアまたはその適用を変更するときは、あらかじめ、バリデーションを行わなければならない。ただし、当該ソフトウェアまたはその適用の変更前にバリデーションを行う必要がない正当な理由を示すことができる場合においては、当該ソフトウェアまたはその適用の変更後にバリデーションを行えば足りるものとする。
  9. 製造販売業者等は、監視および測定へのソフトウェアの使用に伴うリスク(当該ソフトウェアの使用が製品に係る医療機器等の機能、性能および安全性に及ぼす影響を含む。)に応じて、当該ソフトウェアのバリデーションおよび再バリデーションを行わなければならない。
  10. 製造販売業者等は、第九項に規定するバリデーションの結果および結論の記録(当該結果および結論に基づき所要の措置をとった場合においては、その記録を含む。)の記録を作成し、これを保管しなければならない。