医療機器の薬事に関する法規制情報提供サービス

QMS省令 第2章 第2節 品質管理監督システム

第5条 品質管理監督システムに係る要求事項

  1. 製造販売業者等は、この章の規定に従って、品質管理監督システムを文書化するとともに、その実効性を維持しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、この省令で文書化することを求められている全ての要求事項、手順、活動および実施要領を、確立し、実施し、および維持しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、法第23条の2第1項の規定による製造販売業の許可、法第23条の2の3第1項の規定による製造業の登録、法第23条の2の4第1項の規定による医療機器等外国製造業者の登録、法第24条第1項の規定による医薬品の販売業の許可、法第39条第1項の規定による高度管理医療機器等の販売業および貸与業の許可若しくは法第40条の2第1項の規定による医療機器の修理業の許可を受けた場合または法第39条の3第1項の規定による管理医療機器の販売業および貸与業の届出を行った場合においては、そのいずれに該当するかをこの省令に規定する文書その他品質管理監督システムを実施する上で必要な文書(記録を除く。以下「品質管理監督文書」という。)に記載しなければならない。

第5条の2 品質管理監督システムの確立

  1. 製造販売業者等は、次に掲げる事項を明確にして品質管理監督システムを確立しなければならない。品質管理監督システムに必要な工程(以下単に「工程」という。)の内容(当該工程により達成される結果を含む。) 並びに当該工程における各施設およびその各部門の関与の態様
  2. 製品に係る医療機器等の機能、性能および安全性に係るリスク並びに当該リスクに応じた管理の程度
  3. 工程の順序および相互の関係

第5条の3 品質管理監督システムの業務

  1. 製造販売業者等は、工程のそれぞれについて、次に掲げる業務を行わなければならない。
    1. 工程の実施および管理の実効性の確保に必要な判定基準および方法を定めること。
    2. 工程の実施、監視および測定に必要な資源および情報を利用できるようにすること。
    3. 工程により達成される結果を得るためおよび工程の実効性を維持するために所要の措置をとること。
    4. 工程を監視するとともに、定量的に把握する必要がある場合においては、併せて測定し、および分析すること。
    5. 法令の規定等に係る要求事項に適合していることを実証するために必要な記録を作成し、これを保管すること。

第5条の4 品質管理監督システムの管理監督

  1. 製造販売業者等は、この章の規定に従って工程を管理監督しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、工程を変更しようとするときは、あらかじめ、次に掲げる事項を確認しなければならない。
    1. 当該変更が品質管理監督システムに及ぼす影響
    2. 当該変更が製品に係る医療機器等の意図した用途に応じた機能、性能および安全性に及ぼす影響
    3. 当該変更に際して必要となる申請、届出、報告、提出その他の手続

第5条の5 外部委託

  1. 製造販売業者等は、製品要求事項への適合性に影響を及ぼす工程を外部委託することとしたときは、当該工程が当該外部委託を受ける事業者(以下この条において「受託事業者」という。) により管理されているようにしなければならない。
  2. 製造販売業者等は、製品に関連するリスクおよび受託事業者の能力に応じた方法により前項の工程を管理しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、第1項の工程の管理の方法について受託事業者と合意した場合には、合意した内容を品質に関する実施要領に定めなければならない。ただし、一般医療機器のうち製造管理または品質管理に注意を要するものとして厚生労働大臣が指定する医療機器以外の医療機器(以下「限定一般医療機器」という。)に係る工程については、この限りでない。

第5条の6 ソフトウェアの使用

  1. 製造販売業者等(限定第3種医療機器製造販売業者(限定一般医療機器のみを製造販売する製造販売業者をいう。以下同じ。)を除く。以下この条において同じ。)は、品質管理監督システムにソフトウェアを使用する場合においては、当該ソフトウェアの適用に係るバリデーションについて手順を文書化しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、前項のソフトウェアを品質管理監督システムに初めて使用するときおよび当該ソフトウェアまたはその適用を変更するときは、あらかじめ、バリデーションを行わなければならない。ただし、当該ソフトウェアまたはその適用の変更前にバリデーションを行う必要がない正当な理由を示すことができる場合においては、当該ソフトウェアまたはその適用の変更後にバリデーションを行えば足りるものとする。
  3. 前項に規定するバリデーションを行うときは、製造販売業者等は、品質管理監督システムへのソフトウェアの使用に伴うリスク(当該ソフトウェアの使用が製品に係る医療機器等の機能、性能および安全性に及ぼす影響を含む。)に応じて、バリデーションを行わなければならない。
  4. 製造販売業者等は、第2項のバリデーションから得られた記録を作成し、これを保管しなければならない。

第6条 品質管理監督システムの文書化

  1. 製造販売業者等は、品質管理監督文書に、次に掲げる事項(限定第3種医療機器製造販売業者にあっては、第1号を除く。)を記載しなければならない。
    1. 品質方針および品質目標
    2. 品質管理監督システムの基準
    3. この章に規定する手順および記録
    4. 各施設における工程について、実効性のある計画的な実施および管理がなされるようにするために必要な事項(当該実施および管理の記録を含む。)
    5. その他法令の規定等により文書化することが求められる事項

第7条 品質管理監督システム基準書

  1. 製造販売業者等は、次に掲げる事項を記載した品質管理監督システム基準書を文書化しなければならない。
    1. 品質管理監督システムの範囲(適用を除外する事項または非適用とする事項がある場合においては、その詳細およびそれを正当とする理由を含む。)
    2. 品質管理監督システムのために作成した手順書(確立した手順を記載した文書をいう。以下同じ。)の内容または当該手順書の文書番号その他参照情報
    3. 各工程の相互の関係
  2. 製造販売業者等(限定第三種医療機器製造販売業者を除く。)は、品質管理監督システム基準書に、品質管理監督文書の体系の概要を記載しなければならない。

第7条の2 製品標準書

  1. 製造販売業者等は、製品または類似製品グループごとに、品質管理監督システムに係る次に掲げる事項(正当な理由があるときは、第5号または第6号を除く。)を含む要求事項を記載した文書(以下「製品標準書」という。)を作成し、これを保管しなければならない。
    1. 当該製品または当該類似製品グループに係る医療機器等の一般的名称および販売名または類似製品グループの総称、意図した用途並びに表示物
    2. 当該製品または当該類似製品グループに係る製品の仕様
    3. 当該製品または当該類似製品グループに係る製品の製造、保管、取扱いおよび送達の方法
    4. 当該製品または当該類似製品グループに係る製品の測定および監視に係る手順
    5. 製品の設置に係る要求事項
    6. 製品の供給に附帯したサービスに係る業務(以下「附帯サービス業務」という。)に係る要求事項

第8条 品質管理監督文書の管理

  1. 製造販売業者等は、品質管理監督文書を管理しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、次に掲げる業務に必要な管理方法を手順書に記載しなければならない。
    1. 品質管理監督文書を発行するに当たり、当該品質管理監督文書の妥当性を照査し、その発行を承認すること。
    2. 品質管理監督文書について所要の照査を行い、更新を行うに当たり、その更新を承認すること。
    3. 品質管理監督文書の変更内容および最新の改訂状況が識別できるようにすること。
    4. 品質管理監督文書を改訂した場合は、当該品質管理監督文書の改訂版を利用できるようにすること。
    5. 品質管理監督文書が読みやすく、容易に内容を把握することができる状態にあることを確保すること。
    6. 外部で作成された品質管理監督文書(品質管理監督システムの計画および実施に必要であると判断したものに限る。)を識別し、その配付を管理すること。
    7. 品質管理監督文書の劣化または紛失を防止すること。
    8. 廃止した品質管理監督文書が意図に反して使用されることを防止すること。当該文書を保持する場合においては、その目的にかかわらず、廃止されたものであることが適切に識別できるようにしておくこと。
  3. 製造販売業者等(限定第3種医療機器製造販売業者を除く。)は、品質管理監督文書の変更に当たっては、当該変更の決定の根拠となる情報を入手することができる立場にある、当該品質管理監督文書を最初に承認した部門またはその他のあらかじめ指定した部門に、当該品質管理監督文書への変更を照査させ、当該部門の承認を得ることとしなければならない。
  4. 製造販売業者等は、品質管理監督文書またはその写しを、少なくとも1部、第67条で定める期間保管しなければならない。

第9条 記録の管理

  1. 製造販売業者等は、この章に規定する要求事項への適合および品質管理監督システムの実効性のある実施を実証するために必要な記録を作成し、これを保管しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、前項の記録の識別、保管、セキュリティ確保( 当該記録について、漏えい、滅失または毀損の防止その他安全管理を行うことをいう。)、完全性の確保(当該記録が正確であり、記録が作成された時点から不適切な改変がない状態を保つことをいう。)、検索、保管期間および廃棄についての所要の管理方法に関する手順を文書化しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、保有する個人情報(医療機器等の使用によって得られたものに限る。以下この項において同じ。)を適正に管理するための方法を定め、当該方法に従って、個人情報を管理しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、第一項の記録について、読みやすく容易に内容を把握することができ、かつ、検索することができるようにしなければならない。
  5. 製造販売業者等は、第1項の記録を、第68条で定める期間保管しなければならない。