医療機器の薬事に関する法規制情報提供サービス

QMS省令 第2章 第6節 測定、分析および改善

第54条 測定、分析および改善

  1. 製造販売業者等(限定第3種医療機器製造販売業者を除く。次項および次条において同じ。) は、次に掲げる業務に必要な監視、測定、分析および改善(次項において「監視等」という。)に係る工程について、計画を策定し、実施しなければならない。
    1. 製品(限定一般医療機器に係る製品を除く。)の適合性を実証すること。
    2. 品質管理監督システムの適合性を確保すること。
    3. 品質管理監督システムの実効性を維持すること。
  2. 製造販売業者等は、前項の計画において、前項に規定する工程に適用可能な監視等の方法(統計学的方法を含む。)および当該方法の適用範囲について規定しなければならない。

第55条 製品受領者の意見

  1. 製造販売業者等は、品質管理監督システムの実施状況の測定の一環として、自らが製品受領者要求事項に適合しているかどうかについての情報を収集および監視しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、前項の情報の入手および活用に係る方法を文書化しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、製品実現および改善工程に係る工程入力情報とするため、並びに製品要求事項の監視に活用するためのリスクマネジメントに係る工程入力情報とするため、製品受領者からの意見収集の仕組み(製造工程からのデータ収集の仕組みを含む。)に係る手順を文書化しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、法第68条の2の5第1項の規定に基づき収集された情報等製品の出荷後において得る知見の照査を、前項の意見収集の仕組みの一部としなければならない。

第55条の2 苦情処理

  1. 製造販売業者等は、苦情を遅滞なく処理するために必要な手順(次に掲げる事項に関する要求事項および実施に係る責任を含む。)を文書化しなければならない。
    1. 情報の入手および記録
    2. 製品受領者からの情報が苦情であるかどうかの判断
    3. 苦情の調査
    4. 法第68条の10第1項および法第68条の11の規定に基づく報告の必要性の評価
    5. 苦情に係る製品に対する措置
    6. 修正(発見された不適合を除去するための措置をいう。以下同じ。)または是正措置の必要性の評価
  2. 製造販売業者等は、ある製品受領者の苦情について、調査を行わないこととする場合は、その理由を特定し、当該理由を文書化しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、苦情の処理においてとった全ての修正および是正措置を文書化しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、苦情の調査の結果、当該製造販売業者等を含む工程に関与する全ての者以外の者による業務が製品受領者の苦情に関係する場合においては、関連情報を関係する当該者との間で相互に伝達しなければならない。
  5. 製造販売業者等は、苦情の処理に係る記録を作成し、これを保管しなければならない。

第55条の3 厚生労働大臣等への報告

  1. 製造販売業者等は、法第68条の10第1項および法第68条の11の規定に基づく報告に係る手順を文書化しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、前項の規定に係る報告の記録を作成し、これを保管しなければならない。

第56条 内部監査

  1. 製造販売業者等は、品質管理監督システムが次に掲げる要件に適合しているかどうかを明確にするために、あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければならない。
    1. 実施要領、法令の規定等および当該品質管理監督システム(限定一般医療機器に係る製品にあっては、製品実現計画を除く。)に係る要求事項に適合していること。
    2. 効果的に実施され、かつ維持されていること。
  2. 製造販売業者等は、内部監査の計画、実施、記録、および監査結果に関する責任並びにこれらの要求事項に係る手順を文書化しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、内部監査の対象となる工程および領域の状態および重要性並びに従前の監査の結果を考慮して、内部監査実施計画を策定しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、内部監査の判定基準、範囲、頻度および方法を定め、記録しなければならない。
  5. 製造販売業者等は、内部監査を行う構成員(以下「内部監査員」という。)の選定および内部監査の実施においては、客観性および公平性を確保しなければならない。
  6. 製造販売業者等(限定第三種医療機器製造販売業者を除く。)は、内部監査員に自らの業務を内部監査させてはならない。
  7. 製造販売業者等は、内部監査およびその結果( 監査した工程および領域の明確化を含む。)の記録を作成し、これを保管しなければならない。
  8. 製造販売業者等は、内部監査された領域に責任を有する責任者に、発見された不適合および当該不適合の原因を除去するために必要な全ての修正および是正措置を遅滞なくとらせるとともに、当該修正および是正措置の検証を行わせ、その結果を報告させなければならない。

第57条 工程の監視および測定

  1. 製造販売業者等は、品質管理監督システムに係るそれぞれの工程を適切な方法で監視するとともに、当該工程の監視において定量的な評価を行う必要がある場合においては、測定をしなければならない。
  2. 製造販売業者等(限定第三種医療機器製造販売業者を除く。次項において同じ。)は、前項の監視の方法について、工程が第14条第1項の計画に定めた結果を得ることができることを実証できるものとしなければならない。
  3. 製造販売業者等は、第14条第1項の計画に定めた結果を得ることができない場合においては、製品(限定一般医療機器に係る製品を除く。)の適合性を確保するために、修正および是正措置をとらなければならない。ただし、修正または是正措置をとらない正当な理由がある場合においては、この限りでない。

第58条 製品の監視および測定

  1. 製造販売業者等は、製品が製品要求事項に適合していることを検証するために、製品の特性を監視し、かつ、測定しなければならない。
  2. 製造販売業者等(限定第3種医療機器製造販売業者を除く。)は、前項の監視および測定に係る実施要領並びに当該監視および測定に係る手順書を定め、当該実施要領および手順書に従って、製品実現に係る工程の適切な段階において当該監視および測定を実施しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、出荷可否決定等基準への適合性の証拠となる記録等を作成し、これを保管しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、工程の次の段階に進むことの許可および出荷の決定を行った者を特定する記録(限定第3種医療機器製造販売業者以外の製造販売業者等が、出荷可否決定等基準への適合性の実証に必要な監視および測定のために設備および器具を使用した場合においては、当該設備および器具を特定する記録を含む。) を作成し、これを保管しなければならない。
  5. 製造販売業者等は、第2項の実施要領および手順書に従った監視および測定が支障なく完了するまでは、工程の次の段階に進むことの許可、出荷の決定およびサービスの提供を行ってはならない。

第59条 植込医療機器固有の要求事項

  1. 製造販売業者等(限定第3種医療機器製造販売業者を除く。次条から第61条まで(第60条の3第2項を除く。)において同じ。) は、植込医療機器に係る製品(限定一般医療機器に係る製品を除く。次条において同じ。)について、当該製品に係る全ての試験または検査業務を行った構成員を特定する記録を作成しなければならない。

第60条 不適合製品の管理

  1. 製造販売業者等は、製品要求事項に適合しない製品(以下「不適合製品」という。)について、意図に反した使用若しくは操作または出荷を防ぐことを確実にするため、これを識別し、管理しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、不適合製品の識別、不適合情報の文書、不適合製品の隔離並びに不適合製品の評価( 調査の必要性の評価および不適合に対して責任を有する外部の者への通知の必要性の評価を含む。)および措置に係る管理並びにそれに関連する責任および権限について手順を文書化しなければならない。
  3. 製造販売業者等は、不適合製品の管理においてとった全ての措置の記録(不適合の内容、不適合製品の調査および評価並びに当該措置を講じた理由を含む。) を作成し、これを保管しなければならない。

第60条の2 出荷前の不適合製品に対する措置

  1. 製造販売業者等は、次に掲げる方法のうちいずれか一以上のものにより、不適合製品を処理しなければならない。
    1. 発見された不適合を除去するための措置をとること。
    2. 本来の意図された使用または操作ができないようにするための措置をとること。
    3. 特別採用の下で、使用若しくは操作の許可、工程の次の段階に進むことの許可または出荷の決定を行うこと。
  2. 製造販売業者等は、不適合製品について、法令の規定等に適合しない場合には、特別採用による不適合製品の処理を行ってはならない。
  3. 製造販売業者等は、不適合製品の特別採用を行った場合においては、当該特別採用を許可した者を特定する記録を作成し、これを保管しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、出荷前の不適合製品についてとった全ての措置の記録(不適合の内容、不適合製品の調査および評価並びに当該措置を講じた理由を含む。)を作成し、これを保管しなければならない。

第60条の3 出荷後の不適合製品の処理

  1. 製造販売業者等は、製品受領者への製品の送達後または当該製品に係る医療機器等について使用若しくは操作がなされた後に不適合製品を発見した場合においては、その不適合による影響または起こり得る影響に対して適切な措置をとらなければならない。
  2. 製造販売業者等は、不適合製品に係る通知書の発行および実施に係る手順を文書化するとともに、当該手順を随時実施できるものとしなければならない。
  3. 製造販売業者等は、前2項に係る記録を作成し、これを保管しなければならない。

第60条の4 製造し直し

  1. 製造販売業者等は、製品を製造し直すことが必要な場合には、製品に及ぼす悪影響を考慮して、製造し直すための手順書を定め、当該手順書に従って製造し直さなければならない。この場合において、製造販売業者等は、当該手順書の発行に当たっては、通常の手順書と同様の承認手続を行わなければならない。
  2. 製造販売業者等は、製造し直した製品について、適用される判定基準および法令の規定等への適合性を実証するための再検証を行わなければならない。
  3. 製造販売業者等は、製造し直した製品に係る記録を作成し、これを保管しなければならない。

第61条 データの分析

  1. 製造販売業者等は、品質管理監督システムが適切性、妥当性および実効性のあるものであることを実証するために、適切なデータを明確にした上で、当該データの収集および分析を行うための手順(当該収集および分析を行うに当たっての適切な方法(統計学的方法およびその適用の範囲を含む。)を決定するための手順を含む。)を文書化しなければならない。
  2. 製造販売業者等は、データの分析に当たっては、監視および測定の結果から得られたデータ並びにその他関連情報源からのデータ(次の各号(正当な理由があるときは、第六号を除く。)に掲げる情報を含む。)を用いなければならない。
    1. 製品受領者の意見
    2. 製品要求事項への適合性
    3. 工程および製品の特性および傾向(改善を行う端緒となるものを含む。)
    4. 購買物品等の供給者等
    5. 監査
    6. 附帯サービス業務の記録(附帯サービスの提供を行う製品の附帯サービス業務に限る。)
  3. 製造販売業者等は、データの分析により、品質管理監督システムが適切性、妥当性および実効性のあるものであることを実証できなかった場合においては、当該分析の結果を改善のための工程入力情報として活用しなければならない。
  4. 製造販売業者等は、データの分析の結果に係る記録を作成し、これを保管しなければならない。ただし、限定一般医療機器に係る製品については、この限りでない。

第62条 改善

  1. 製造販売業者等(限定第3種医療機器製造販売業者を除く。)は、その品質方針、品質目標、監査の結果、市販後監視、データの分析、是正措置、予防措置および管理監督者照査を通じて、医療機器等の意図した用途に応じた機能、性能および安全性並びに継続的に品質管理監督システムの適切性、妥当性および実効性を維持するために変更が必要な事項を全て明らかにするとともに、当該変更を実施しなければならない。

第63条 是正措置

  1. 製造販売業者等は、発見された不適合による影響に応じて、当該不適合の再発を防ぐために必要な全ての是正措置を遅滞なくとらなければならない。
  2. 製造販売業者等は、次に掲げる事項に関して必要な要求事項を定めた是正措置に係る手順を文書化しなければならない。
    1. 不適合(製品受領者の苦情を含む。)の照査
    2. 不適合の原因の特定
    3. 不適合が再発しないことを確保するための措置の必要性の評価
    4. 所要の是正措置に係る計画の策定、当該是正措置の内容の記録および当該是正措置の実施(当該是正措置に変更がある場合においては、当該計画および記録の更新を含む。)
    5. 是正措置が法令の規定等への適合性または医療機器等の意図した用途に応じた機能、性能および安全性に及ぼす悪影響の検証
    6. 是正措置をとった場合には、その是正措置の実効性についての照査
  3. 製造販売業者等は、是正措置に関し調査を行った場合においては、当該調査および是正措置の結果に係る記録を作成し、これを保管しなければならない。

第64条 予防措置

  1. 製造販売業者等(限定第3種医療機器製造販売業者を除く。以下この条および次条において同じ。) は、起こり得る問題の影響に照らし、当該問題の発生を防止するために適切な予防措置を明確にし、とらなければならない。
  2. 製造販売業者等は、次に掲げる事項に関して必要な要求事項を定めた予防措置に係る手順を文書化しなければならない。
    1. 起こり得る不適合およびその原因の特定
    2. 予防措置の必要性の評価
    3. 所要の予防措置に係る計画の策定、当該予防措置の内容の記録および当該予防措置の実施(当該予防措置に変更がある場合においては、当該計画および記録の更新を含む。)
    4. 予防措置が法令の規定等への適合性または医療機器等の意図した用途に応じた機能、性能および安全性に及ぼす悪影響の検証
    5. 予防措置をとった場合には、その予防措置の実効性についての照査
  3. 製造販売業者等は、予防措置に関し調査を行った場合においては、当該調査および予防措置の結果に係る記録を作成し、これを保管しなければならない。