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ここでいう「使用性」とはIEC 62366-1のUsabilityに相当するもののことをいいます。
日本における医療機器の「基本要件基準」(平成 17 年厚生労働省告示第 122 号)においては、IEC62366-1/ JIS T62366-1の適用はまだ必須とはされていません。
しかしながら、令和元年10月1日付課長通知「ユーザビリティエンジニアリングの医療機器への適用に関する日本産業規格の制定に伴う医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律上の取扱いについて(薬生機審発1001第1号/薬生監麻発1001第5号)」には以下の記載があります:
令和4年9月 30 日までに、当該規格(=JIS T62366-1)を適用したプロセスを構築することが望ましい。
ユーザビリティエンジニアリングの医療機器への適用に関する日本産業規格の制定に伴う医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律上の取扱いについて(薬生機審発1001第1号/薬生監麻発1001第5号)
今後、基本要件基準においてIEC62366-1/ JIS T62366-1が要求される可能性があることにご留意ください。
QMS省令 第35条第5項には以下の規定があります:
製造販売業者等は、設計開発に係る医療機器等が法第23条の2の5第3項の厚生労働省令で定める医療機器等である場合または法第23条の2の9第4項の厚生労働省令で定める医療機器等である場合においては、これらの規定に基づき行う資料の収集および作成を、設計開発バリデーションの一部として実施しなければならない。
QMS省令第35条第5項
法第23条の2の5第3項は、医療機器の製造販売承認の際に臨床試験の成績(=治験の成績)の添付を求めるものです。また、法第23条の2の9第4項は医療機器の使用成績評価に係る規定です。
上記の規定は、つまるところ以下をいいます:
以下が当該の薬機法の規定です:
3 第一項の承認を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、申請書に臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を添付して申請しなければならない。この場合において、当該申請に係る医療機器又は体外診断用医薬品が厚生労働省令で定める医療機器又は体外診断用医薬品であるときは、当該資料は、厚生労働省令で定める基準に従つて収集され、かつ、作成されたものでなければならない。
薬機法 第23条の2の5第3項
4 第一項の申請は、申請書にその医療機器又は体外診断用医薬品の使用成績に関する資料その他厚生労働省令で定める資料を添付してしなければならない。この場合において、当該申請に係る医療機器又は体外診断用医薬品が厚生労働省令で定める医療機器又は体外診断用医薬品であるときは、当該資料は、厚生労働省令で定める基準に従つて収集され、かつ、作成されたものでなければならない。
薬機法 第23条の2の9第4項
設計開発に係る記録簿には以下のものが含まれ得ます:
(出典:薬生監麻発0326第4号)
「設置管理医療機器」とは以下の医療機器のことを言います:
設置に当たつて組立てが必要な特定保守管理医療機器であつて、保健衛生上の危害の発生を防止するために当該組立てに係る管理が必要なものとして厚生労働大臣が指定する医療機器
薬機法施行規則第114条の55 第1項
一方で、「これに類する医療機器」とは以下の医療機器のことを言います:
「これに類する医療機器」は、設置管理医療機器以外の医療機器において、その使用に際して、 ISO 13485:2016の「7.5.3 Installation activities」における据付け及びその検証に含まれるような設置の作業製品の組立て、電源又は水道等の設備への接続等を伴うものを意図するものである
薬生監麻発0326第4号
設置管理医療機器は、QMS省令以外に薬機法施行規則においてもその遵守すべき要求事項が規定されています。
薬機法施行規則第114条の55による設置管理医療機器についての要求事項には以下があります:
工程バリデーションは「それ以降の監視若しくは測定では当該工程の結果たる工程出力情報を検証することができない場合(製品が使用若しくは操作され、又はサービスが提供された後にのみ不具合が明らかになる場合を含む。)又は当該工程出力情報を検証しない場合」に実施が要求されます。
つまり、ある工程の後で、当該工程のアウトプットが適切であるかについて試験などによって検証ができない/しない場合に実施が必要となります。「その工程が上手くいったかどうか後から検証することができない/しないのであれば、事前に当該工程が上手くいくことを保証しなさい」というのがこの規定の要求するところです。
工程バリデーションが必要とされる工程には以下のようなものがあります:
ISO13485:2016 7.5.8 Identification(識別)では以下の要求があります:
適用される規制要求事項によって要求される場合、医療機器に機器固有識別子(UDI)を割り当てるシステムについて文書化する。
ISO13485:2016
現在のところ、日本においてUDIは規制要求事項として要求されていないため、QMS省令ではUDIは要求されていません。
ただし、令和元年の薬機法の改正で「医療機器を特定するための符号の容器への表示等」が令和4年12月1日に施行される予定です。
(医薬品、医療機器又は再生医療等製品を特定するための符号の容器への表示等)
第六十八条の二の五
医薬品、医療機器又は再生医療等製品の製造販売業者は、厚生労働省令で定める区分に応じ、医薬品、医療機器又は再生医療等製品の特定に資する情報を円滑に提供するため、医薬品、医療機器又は再生医療等製品を特定するための符号のこれらの容器への表示その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならない。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)
日本におけるUDIの義務化は令和4年12月1日であり、それに合わせて省令に反映されるものと思われます。
第49条は、特定医療機器を含む植込医療機器に係る製品に適用されます。
特定医療機器とは以下を言います:
人の体内に植え込む方法で用いられる医療機器その他の医療を提供する施設以外において用いられることが想定されている医療機器であつて保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するためにその所在が把握されている必要があるものとして厚生労働大臣が指定する医療機器
薬機法第68条の5 第1項