医療機器企業は一定の資格要件を満たす人を置かなければならないそうだけど、資格要件とは何ですか?
医療機器企業を立ち上げるには、最小で何人必要ですか?
上記はこれから医療機器企業に参入しようとする企業様から良く受けるご質問です。
日本で医療機器を製造販売(※1)するためには、「医療機器製造販売業許可」を取得しなければなりません。
その「医療機器製造販売業許可」の取得のためには大きく分けて以下2つの要件を満たす必要があります。
上記を満たすためには、法令で定められた5つの役割を有する責任者(以下、5役)を配置しなければなりません。
その5役には法令によってそれぞれ満たすべき資格要件が定められています。
これから医療機器業界に参入する企業にとって、社内の要員が5役の資格要件を満たしているかどうか、いないのであればどういう経験を持った人を採用すれば良いかについてはとても気になるところです。
特に少ない人数で医療機器企業を立ち上げようとする企業にとっては、どの範囲まで兼務が可能なのか?ということはかなり重要となってきます。
そこでこの記事では、5役の資格要件および兼務について解説します。
目次
医療機器製造販売業許可を取得するために設置が求められる5役は以下です:
上記1.~5.の役職にはそれぞれ資格要件が定められています。
第1種・第2種医療機器製造販売業者の場合
下記のいずれかに該当する者:
第3種医療機器製造販売業者の場合
下記のいずれかに該当する者:
(根拠法令:医薬品医療機器等法施行規則114条の49)
品質管理監督システム(QMS)を最上位で管理監督する役員等。
品質管理監督システムに係る業務を最高位で管理監督する役員等特定の個人のほか、QMS省令に規定する管理監督者としての責任及び権限が付与された特定の組織(例えば会議体等)とすることも可能です。
ただし、この場合には当該組織のうち特定の個人を、当該組織の管理監督者としての責任を負う者として明確にする必要があります。
(根拠法令:QMS省令第2条第16項)
役員や管理職の地位にあるまたは相当する者で、管理監督者から企業の品質管理監 督システムの実施および維持の責任者として任命された者。
(根拠法令:QMS省令第16条第1項)
以下のすべての要件を満たす者
なお、「品質管理業務その他これに類する業務に従事した者」とは以下の者を言います。
ア.管理監督者
イ.管理責任者
ウ.医療機器等総括製造販売責任者
エ.旧法下における品質保証責任者、製造管理者及び責任技術者
オ.製造販売業者又は製造業の製造管理又は品質管理に係る業務に従事した者
カ.ISO 9001 又は ISO 13485 の認証を受けた事業者等(製品の製造販売又は製造を行うものに限り、サービス提供等のみを行うものを除く。)に係る品質マネジメントシステムの継続的改善又は維持に係る業務に従事した者(第2種、第3種製造販売業者のみ)
カ.については第1種製造販売業者には適用されませんのでご留意ください。
(根拠法令:QMS省令第72条第1項)
第1種医療機器製造販売業者の場合
以下のすべてを満たす者:
(根拠法令:GVP省令第4条第2項)
第2種・第3種医療機器製造販売業者の場合
以下のすべてを満たす者:
(根拠法令:GVP省令第13条、第15条)
第1種の場合は安全管理統括部門を設置する必要があります。
また、安全管理責任者に3年の従事経験が求められています。
2種、3種には部門の設置および従事経験は求められていません。
国内品質業務運営責任者および第1種製造販売業者の場合には安全管理責任者について、それぞれ3年の従事経験が求められています。
これは特に新規参入企業にとって厳しい要求事項です。
事業開始初期においては、要件を満たす方を雇い、計画的に後進を育成していく必要があります。
医療機器製造販売業者は上で紹介したように5役を設置することが求められています。
しかしながら、必ず1人が1役を担わなければならないわけではありません。
法令によって、兼務が可能な範囲が定められています。
法令要求上、資格要件を満たす者が2人いれば体制が組めることになります。
ただし、2人で支障なく業務を実施できることを当局に証明できなければなりません。
実際には医療機器専業企業の場合、管理監督者には社長が就くことが往々にしてあります。社長は実質的に販売のトップですので、品責と兼務するのは現実的ではないでしょう。
第2種の場合も第1種同様、法令要求上資格要件を満たす者が2人いれば体制が組めることになります。
ただし、同様に2人で支障なく業務を実施できることを当局に証明できなければなりません。また、社長と品責の兼務がふさわしくないことは上記で述べた通りです。
・総括、管理監督者、管理責任者、品責の間で2又は3以上の役職の兼務が可能です。(図の青い矢印)
第3種の場合、法令上全ての役職を1人が兼務することは可能ですが、実質的に業務に支障が出ることと思われます。複数人設置することが望ましいでしょう。
第1種、第2種、第3種のいずれにおいても、兼務しようとする役職において要求される資格要件等の条件等をすべて満たし、かつ業務に支障が生じない場合に限って兼務可能であることにご留意ください。
(根拠法令:QMS省令第71条第2項、第72条第5項、平成26年8月6日薬食発0806第3号第6その他1)