2019年12月4日、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第63号)が公布されました。本法の公布によって「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)及び関連する法律が改正されました(以下、改正薬機法)。
本記事では改正薬機法のポイント、改正内容、施行期日、関連する政省令の改正についてまとめています。
(本記事は最新情報が入り次第、随時更新していきます。)
改正薬機法のポイント及び施行期日
改正薬機法のポイント
- 医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供するための開発から市販後までの制度改善
(1) 「先駆け審査指定制度」の法制化、小児の用法用量設定といった特定用途医薬品等への優先審査等☆
(2) 「条件付き早期承認制度」の法制化☆
(3) 最終的な製品の有効性、安全性に影響を及ぼさない医薬品等の製造方法等の変更について、事前に厚生労働大臣が確認した計画に沿って変更する場合に、承認制から届出制に見直し☆(但し、医薬品・再生医療等製品は◇)
(4) 継続的な改善・改良が行われる医療機器の特性やAI等による技術革新等に適切に対応する医療機器の承認制度の導入☆
(5) 適正使用の最新情報を医療現場に速やかに提供するため、添付文書の電子的な方法による提供の原則化◇
(6) トレーサビリティ向上のため、医薬品等の包装等へのバーコード等の表示の義務付け△
等
- 住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができるようにするための薬剤師・薬局のあり方の見直し
(1) 薬剤師が、調剤時に限らず、必要に応じて患者の薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行う義務、薬局薬剤師が、患者の薬剤の使用に関する情報を他医療提供施設の医師等に提供する努力義務の法制化☆
(2) 患者自身が自分に適した薬局を選択できるよう、機能別の薬局※の知事認定制度(名称独占)を導入◇
(3) 服薬指導について、対面義務の例外として、一定のルールの下で、テレビ電話等による服薬指導を規定☆
等
- 信頼確保のための法令遵守体制等の整備
(1) 許可等業者に対する法令遵守体制の整備(業務監督体制の整備、経営陣と現場責任者の責任の明確化等)の義務付け◇
(2) 虚偽・誇大広告による医薬品等の販売に対する課徴金制度の創設◇
(3) 国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度(薬監証明制度)の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化☆
(4)医薬品として用いる覚せい剤原料について、医薬品として用いる麻薬と同様、自己の治療目的の携行輸入等の許可制度を導入★
等
- その他
(1) 医薬品等の安全性の確保や危害の発生防止等に関する施策の実施状況を評価・監視する医薬品等行政評価・監視委員会の設置☆
(2) 科学技術の発展等を踏まえた採血の制限の緩和 ☆
等
施行期日
施行期日を上記各項目の末尾のマークで表しました。
各項目がいつ施行されるのかについては下記のマークと照らし合わせてご確認ください。
【施行期日凡例】
★:令和2年4月1日
☆:令和2年9月1日
◇:令和3年8月1日
△:令和4年12月1日
【参考】
施行期日を定める政令:
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令の公布について(令和2年政令第39号)
パブリックコメントの状況
行政機関が政令や省令等を新規に策定又は改訂する際には、あらかじめその案を公表し、広く国民から意見や情報を募集する手続が、採られます。これをパブリックコメント制度(意見公募手続)といいます。
ここでは、改正薬機法に関する主なパブリックコメントの状況を見ていきます。
改正薬機法に係る省令の改正に関するパブリックコメントの募集です。
なお、パブリックコメントの募集画面へは上記タイトルにリンクを貼っています。
改正予定の省令及びそれらの省令の公布・施行期日は以下です。
【改正予定の省令】
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和 36 年厚生省令第1号)の一部改正
・薬局制度に係る改正
・審査制度、治験制度等に係る改正
・承認等を受けないで行われる医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器等の輸入に係る確認制度の創設に係る改正
- 薬局等構造設備規則(昭和 36 年厚生省令第2号)の一部改正
- 麻薬及び向精神薬取締法施行規則(昭和 28 年厚生省令第 14 号)の一部改正
- 安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律施行規則(昭和 31 年厚生省令第 22 号)の一部改正
- 薬剤師法施行規則(昭和 36 年厚生省令第5号)の一部改正
- その他、所要の規定の整備
【公布日・施行期日】
公布日 :令和2年8月中旬(予定)
施行期日:令和2年9月1日 |
多くの製薬、医療機器企業の関心が高いであろう医薬品のGMP省令、医療機器のQMS省令に関する事項は含められていません。
これらについてのパブリックコメントも募集が開始され次第本記事でお知らせいたします。
改正薬機法に係る政令の改正に関するパブリックコメントの募集です。
なお、パブリックコメントの募集画面へは上記タイトルにリンクを貼っています。
改正予定の政令及びそれらの政令の公布・施行期日は以下です。
【改正予定の政令】
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和 36 年政令第 11 号)の一部改正
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係手数料令(平 成 17 年政令第 91 号)の一部改正
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構法施行令(平成 16 年政令第 83 号)の一部改正改正法により、新たに機構の業務に追加されたもののうち、手数料を徴収しない業務を定める。
- その他関係政令の一部改正
・地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)
・特許法施行令(昭和35年政令第16 号)
・特定複合観光施設区域整備法施行令(平成31年政令第72号)
・厚生労働省組織令(平成12年政令第252号)
【公布日・施行期日】
公布日 :令和2年7月下旬(予定)
施行期日:改正法の施行の日(令和2年9月1日)
※ただし、1. における改正の一部(地方薬事審議会に調査審議させる都道府県知事の権限に属する事務として地域連携薬局又は専門医療機関連携薬局の認定に係る事務を規定)については改正法附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日(令和3年8月1日) |